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2024.02.13
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団体メンバーインタビュー企画。#02 弁護士 岸本悟先生に聞いてみた。

第二回目は、当法人理事である弁護士 岸本 悟 先生に聞いてみた 

―― 岸本先生は普段はどのようなご依頼を専門に受けられているのでしょうか?

岸本:そうですね、交通事故関係の仕事が多い事務所なんですけど、それが専門というわけではなく、相続のお話や借家の明け渡し、境界のトラブル、等色々なご相談をお受けしています。

「実は、明智小五郎に憧れて・・・

―― そうなのですね、ではその弁護士になられたきっかけを教えていただけますか?

岸本:実は私、小学校の頃からずっと「弁護士になるんだ」って言い続けていました。推理小説が大好きな子供だったんですね。で、その小説に出てくるような名探偵になりたかった。でも名探偵って仕事にはならないっていう中で、じゃあ弁護士になりたいな、と言い続けて…今に至っています。

正直恥ずかしい話ですけど、今でも名探偵の仕事ができたらいいなっていうところがあって、詐欺事件とかでも紐解いていくことで当初否認していた相手側が返金に応じて依頼者さんも喜んでくれたり、とか私もやってよかったなと思うことなどがよくあります。

―― 動物に関わる事案のご依頼なども対応されることがあるのでしょうか?

岸本:あんまり多くはないんですが、ペットが事故に遭っての損害賠償というところでのお話はありましたね。被害にあった飼い主さんの気持ちと、加害者の立場、それと保険会社としての立場、それぞれで難しいなっていう風には感じますよね。そもそもペットはモノじゃないっていうところがありつつ、一方で裁判所もなかなかそこが受け止められていないっていうところで、本当、難しい分野だと思っています。

  

保護犬 ペコちゃんとの出会い

―― 有難うございます。ではここからはどうぶつ弁護団としての岸本先生についてお聞きします。どうぶつ弁護団のマスコット犬に抜擢されたペコちゃんと岸本先生との出会いを教えてください。

岸本:はい、これはもう話せば長くなりますので端折りますと、ある時息子が犬を飼いたいって言いだしたので家族で話し合い、家を引っ越しした後で、せっかくなら保護犬を迎えようということになったんです。で、地域の動物管理センターに皆で行って、この子だったらうちの家でも飼えるかなっていう子を引き取らせてもらった経緯ですね。最初は関係づくりも難しかったですが、今では随分一緒に山も登ったし、仕事から帰ったら一通り(何言ってるかは分かりませんが(^^;)喋ってくれるような関係になっています。

―― 先日リアルで(事務局メンバーが)ペコちゃんにお会いしましたがとっても大人しくって驚くほど優しいわんこでしたね。ブース待機中、何も言わないのにちゃんと接客のお仕事してくれて…助かりました!

自分の関心分野で弁護士として役に立てることがあるなら

―― さて、おととしの9月にどうぶつ弁護団が立ち上がり、先生もその初期メンバーでいらっしゃいますが、どのような想いで関わられたのでしょうか?

岸本:私の場合は、元々動物問題をやっていたわけでもないのですが、きっかけとしては…
弁護士会で発行している会報誌がありまして、その制作委員だった際に何かいいネタないかということで、ペコとのことを書くことにしたんです。保護犬という存在がいて、逆に殺処分されてしまっている犬や猫がたくさんいるっていうことなど、弁護士会の会報では読んだことのないカテゴリだったので書いてみました。それを細川先生が読まれたらしく、そういうところに関心があるんだったら参加してみないかということで誘われたところからですね。

私自身、迎えた犬が雑種の保護犬だったこともあり、完全ひいきだと思うのですがやっぱり雑種の子がかわいいなっていう想いがありまして。だからこそ、保護犬保護猫を守っていける活動をやれたらいいなというところで、自分が関心のある分野で、弁護士として役に立てることがあるんだったら、是非お手伝いしたいなっていう気持ちでした。

―― ペコちゃんとの出会いも大きかったのですね!
次に、どうぶつ弁護団は日本初の法律面からのアクションを専門とする動物関係のNPOですが、岸本先生は団体事業の中でどのような活動をされているのか教えてください。

岸本:どうぶつ弁護団の中で、細川先生がやっぱり動物虐待とかの問題を切り開いてきた、社会に訴えてきた第一人者だと思うんです。その細川先生が色々な経験を踏まえて、こういう問題に対してこういう風に対応していこうとその方針を決めていただくわけですけども、
一方で、毎日のように情報提供っていうのがあがってくると、おそらく一人で決められないし手が回らないですよね。で、私のような理事メンバーの弁護士と獣医師の先生とが各事案に関してどこまでやっていけるのか、っていうところを議論するわけです。

私なりに、動物ではなく人間の分野においては被害者の代わりに刑事告訴という経験は何件もありますから、その経験を踏まえて、証拠がきちっと固まっており、これは明らかに事件であるという時に、それに対してきちっと警察に訴えていこうと、その決断をするための議論に関わるのが私の担当の一つになります。

それと、まだ我々の団体って知られていないので、色んなところに顔を出してですね、例えば保護団体の方にお話ししたりとか、議員さんに活動を説明して何かあったら我々からも意見を申し上げたいとかいうようなことをお話して、PR活動をやったりとかもしています。

「被害に遭った動物は喋れない、また大抵が人間のいないところで起こる事案が多い 」

―― なるほど。ではその活動の中で、今までに行った告発事案や、印象に残っている事案を、可能な範囲で教えていただけますか?

岸本:情報提供者との関係もあり詳しいお話は難しいのですが、あくまで印象だけをお話すると、なかなか犯人を捕まえるのが難しい類型が多いなと思っています、だからこそうちの法人があるわけですけど。

被害に遭った動物は喋れない、また大抵が人間のいないところで起こる事案が多いというところで、人間が目撃もしていない。例えば猫が被害に遭っているときには、きっと他の猫も周囲にいると思うけども、その猫から話を聞くわけにもいかず・・・。

そういうところで、きっとそこに何らかの証拠はあったんだろうなと思うものの、そこで事件が起こっていることは間違いないものの、警察が来ても犯人を捕まえるっているところに至らないとうのが、、、歯痒いなと思っています。

一方で感じるのが、警察は結構捜査しているんだなということですね。話を聞いていると、聞き込み行ったんです、とか、現地見に行ったんですけどとか、そういう話をしているので、やろうとはしてくれているんだなと。ただ、なかなか証拠も固まらないし、犯人検挙に至る例が少ないのかなと、そこは残念だなっていう風に思いますね。

できるだけ早い段階で客観的な証拠として置いておけるかどうか

―― そうですよね、警察も実はちゃんと動いてくれているんですね。外から見えないだけで。
先程のお話で、多くの情報提供に目を通されているとのことでしたが、どのような内容の情報だと動きやすい、どういうポイントを押さえていれば、などありますでしょうか。

岸本:まず、警察って人間の時もそうですけど、「事件ですか、事故ですか?」って聞きますよね。動物が虐待されている事件だとして、“事故ではなく事件である証拠”があるかないか、っていうのが大きいなと思います。

どういう被害があったのか、どういうきっかけで被害にあったのか。例えば罠が仕掛けられていて、そこが罠を仕掛けてはダメな場所なのに仕掛けられていた事が分かる資料や、被害に遭った犬や猫の獣医さんによる診断書など、できるだけ早い段階で客観的な証拠として置いていただくように、というところが我々が事件として告発まで持っていくためにお願いしたいところですね。

「虐待やと直感的に感じたら何らかの証拠を残してうちの方に情報提供してほしい」

―― 客観的な証拠で、なおかつなるべく早く確保しておくということですね。

岸本:そうですね。インターネット上で、ペット用に売られている小動物をトイレに流す動画を投稿していた輩がいたんですけど、あれなんか明らかに虐待なので何とかしたいと思ったんですけど、そういうのってすぐに消しやがるんですよね。そうすると証拠が無くなってしまうと我々としては何ともしようがなく、警察に訴えることができずに終わってしまう。

見つけたときにすぐに動画を撮っていただくとか、虐待やと直感的に感じたら何らかの証拠を残してうちの方に情報提供してほしいなって思います。

法人としては、動物虐待事案の情報提供をお受けできるだけで、法律相談業務はできず、 弁護士の紹介もできないのです・・・

岸本:一方でなかなか対応しにくい内容のものもありますね。虐待の情報提供ではなく、例えば隣人トラブルとか、飼っている犬や猫が被害に遭ったとかっていうようなときに、これをどうしたらよいでしょうか、などの相談がちょこちょこ入ります。確かに話を聞いているとお気の毒だなという風に思うんですけど、我々どうぶつ弁護団はNPO法人としての活動なので、法律相談を聞いてしまうと、弁護士法に抵触することになるんです。
よって、法律相談はお受けできないし、弁護士の紹介というのも難しいというのが、皆様にご理解いただきたいかなということですね。

―― 確かに、「動物たちのことを代弁して護る=弁護」、という意味であり、直接的に弁護士としての活動はできないということですよね。
その上で、これからのどうぶつ弁護団のビジョンを教えてください。

「どうぶつ弁護団の見識をうまく国とか議員さんに繋いでいけたら、生きた形で法規制とかできるんじゃないかな

岸本: 犯人を捕まえるだけならNPO法人を作らなくても良かったと思っていて、最終目標は「人と動物の共生」にあるので、それをいかに訴えていくのかだと思っています。

我々の法人って、日々色々な情報を入手していて、なおかつ弁護士と獣医師という法律と獣医学の専門家がいるっていう中で、その見識をうまく国とか議員さんに繋いでいけたら、生きた形で法規制とかできるんじゃないかなと思っていまして。

そうしていくために、もっと法人を大きくして、周知していかないといけないですね。それなりに対応件数を重ねていったら、
 ・悪質な業者はこんな状態である
 ・酷い虐待事案はこんなものがある
 ・またそれに対してなかなか裁判所は動かない
とかっていうような実情を訴えていく。

自治体とか国とか、また議員さんとかに繋いでいくことによって、法制度を変えていくっていうようなところまでやっていけたらなっていうのはありますね。

なので、議員さんがいるようなイベントとかに顔出ししたりとかっていうので、少しずつ我々の活動を国や自治体に知ってもらえるようにやっていきたいなっていうのは思います。

あと、まだまだ人的な体制は弱いなと思うんで、うちの法人は全国からの情報提供がウェルカムなわけですけれども、それにちゃんと対応できるような、例えば東京支部を作るとか体制を大きくしていきたいなとも思いますね。

―― 支えてくださっている賛助会員様へのメッセージがあればお願いします!

岸本:これからも日本全国の事件をやるっていうことになったら移動交通費だけでもすごい金額になりますし、例えばホームページ作成にもお金がかかっています、そういう経費をバックアップしていただいているからこそ、我々がガンガン刑事告発したり、PR活動したりとかやってこれているわけです。皆さんの、動物を守ってあげたいというお声を我々の方でもっと訴えていきたいと思います。本当に有難うございます!!

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